日本を元気にする!運動会屋遠藤のつぶやき Vol.108
組織の中でメンバーに求められる性質・能力として挙げられるものに「協調性」があります。この「協調」の意味を「同調」と混同して理解し、行動していることがあるのではないでしょうか。
そもそもの言葉の意味を調べてみると、「同調」とは「他に調子を合わせること。他人の意見・主張などに賛同すること」とあります。他方「協調」とは「互いに協力し合うこと。特に、利害や立場などの異なるもの同士が協力し合うこと」とあります。協調は、異なる者同士が、力を合わせるという意味を表しています。
会議などでは核心を突いた発言は一切せず、その場の意見に同調して、消極的に賛成した立場をとる。参加者は、その場を荒らさないことを是とするような行動をとる。こうやって、表面的に全員賛成で決められていく。せっかく、別の意見を持っていながら、それを表明することなく、このような行動をとってしまうことがよくあるのではないでしょうか。
どうして、私たちは会議などの場で意見を言いづらく思うのでしょうか。「違い」を受け入れることに慣れていない日本では特に「自分の意見と異なる意見がでること」で、自分が“否定された”と感じたくない心理が、意見を言いづらくしている大きな要因だと思います。また、自分がされると嫌なことは相手にしたくない、自分がしたら仕返しされるかもしれないという心理もあるように思います。
私がファシリテーターとして参画させていただく話し合いの場では、「相手の意見を否定しない」ことをルールとして、みなさんに理解いただきます。議論のボルテージが上がってしまって、ルールを逸脱しそうなときは、議論を止めて静止します。そうはいっても、日頃、あまり意見を述べない方がすぐに意見を述べることは難しいようです。それでも、時間が経って、本当に否定されないことが分かると、少しづつ意見を述べられるようになってきます。会議の場を「同調」の場ではなく「協調」の場とするためには、このような会議の場づくりが大切です。
そして、メンバーが自分の本当の声を恐れずに聞いて、自分の意見を見つけ出して、自分だけの価値観に気づいていくこと。組織が「協調」していくための第一歩はここにあるのだと思います。
この記事を書いた人
遠藤 直哉