日本を元気にする!運動会屋遠藤のつぶやき Vol.84
通知表に記載される各科目1から5までの成績は、教師の主観を排除することを目的に、1955年から学級の人数の中で決められた割合で評価する“相対評価”となりました。しかし、この相対評価は一人ひとりの児童生徒のよい点や可能性、進捗状況を把握するためには適していないということが2000年の答申で提言されて、2001年から“絶対評価”に変更となりました。相対評価の世界では、自分以外の他人は競争相手になります。自己研鑽につながることもありますが、弊害も多くあると思います。
この相対評価は、会社組織ではもっと厳しく熾烈に行われます。いくつもある評価指標の中で順位付けが行われて、給与や職位が決定されていきます。特に結果が全てという理論が全盛となると、さらに過酷な順位争いとなります。いかに自分の成果にするか、いかに失敗の責任を被らないようにするかという考えで人は動きます。
本来応用数学のゲーム理論の概念で、経済でもよく引き合いに出される「ゼロサムゲーム*」という考え方があります。相対評価の世界は、このゼロサムゲームの考え方の世界に似ていると思います。つまり、世界は一方の利益がもう一方の者の利益の損失と同じであり、全体の損益は常にゼロであると考え、この世界の中で自分の利益を最大にすることを考えるということです。
一人ひとりメンバーの持っている力は、同じ物差しで測れるものではありません。一人ひとりに絶対的な価値があります。そして、その力を引き出してその力を組織の力にしていくことが、変化の激しい社会の中で、組織を成長させるためには欠かせない要素となっています。そのために、組織の中の評価は、絶対評価に近づけるべきだと思います。
従来の人事制度は、一定の指標の元、成績上位者から次の上位職を選ぶということが当たり前になっていました。成績優秀者が上位職になりそのノウハウを部下に伝えてくれれば、みんな同じように成績をあげられるはずだという考えがあるのだと思います。正解が分からない今の環境において、この発想では成果が上がりにくいと思います。上位職という職位は、他のメンバーと上下関係ではなく、メンバーの強みを引き出し組織の力としていくことができるという“強み”をもった人が、その強みを発揮するポジションであるべきだと思います。成績優秀な営業マンには、都度報酬で報いるべきだと思います。
一人ひとりが安心して“強み”を発揮し合って、新しい価値を生み出していくことで、ゼロサム社会を抜け出して、“プラスサム**”の社会にしてきたいですね!
*勝者と敗者の得点がプラスマイナスゼロになること
**勝者と敗者の得点合計がプラスになること
この記事を書いた人
遠藤 直哉